原因不明な繰り返す腹痛に潜在する希少疾患
~治療可能となった急性肝性ポルフィリン症を「見つかる」から「見つける」へ~
多様な臨床症状を呈する希少疾患は診断が難しく、患者は原因不明のまま複数の医療機関または診療科を受診し、確定診断までに長い年月を要することが珍しくない。急性肝性ポルフィリン症(Acute hepatic porphyria; AHP)は、肝臓でのヘム生合成に関与する酵素異常に起因する遺伝性の代謝性疾患であり、多くの患者に共通して腹痛の症状がみられるほか、四肢の痛みや筋力低下などの神経症状、不安や幻想・妄想などの精神症状などの症状が認められる。ただし、これらの症状は他の疾患においても頻繁にみられる非特異的な症状であり、かつAHPは血液検査や画像検査では診断がつかない。特に急激な腹痛にみまわれることが多いため、本邦の報告によると初期診断では急性腹症やイレウス、虫垂炎と診断されることの多い疾患でもある。このような背景から、確定診断に至らず日常診療にAHPが潜在しているケースは少なくないと考えられる。本シンポジウムでは、治療可能となった急性肝性ポルフィリン症を「見つかる」から「見つける」へと題し、AHPの早期診断に向け、具体的な症例を提示していただきながらAHPの鑑別診断や実地臨床などについてご講演いただく。