病歴と診断
病歴が正確な診断に貢献する役割は大きい。不確実性、状況要因、バイアス、そしてノイズという概念群は診断と深く交絡しこれについての対応は多面的な対処が求められる一方、医師と患者という1対1で向かい合ったときの空間で行うことができる医療-そのほとんどが病歴、そしてそれに伴う診察だが-の役割は依然大きい。本セッションでは本邦を代表するお二人の総合診療医にご登壇いただく予定である。2023年時点での、診断の精度を上げ、ひいては局地的・総体的に医療の質を高める診療・教育の工夫とその概要についておふたりからそれぞれプレゼンテーションをいただいたのちに、司会からおふたりのプレゼンテーションに沿ってアドリブで質問を立て、これに会場の皆様からも忌憚なきご質問をいただき、全方位型の参加型セッションにしたいと考えている。
本総会のテーマはDiagnostic Excellenceである。2021年にJAMA誌でこのタイトルが世界を席巻してから、本邦では初の冠学会となる。病歴は診断という営為の中核をなす要素であると思う。患者協働をもとにした、患者の適時で正確な診断の実現に向け、本セッションがその起点の中心地となるような記念すべきセッションに昇華することを願う