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2月18日 (土)

プログラム

抄録





思春期の診断の留意点とピットフォール


思春期は二次性徴に伴いこころも体も大きく変化する時期であり、思春期での診療、診断においては思春期の特徴を理解して行うことが必要である。そしてその診療においては受診した思春期患者を大人として尊重する、また秘密の保持の約束する、そして本当の本人にとっての主訴が何かなども含めて、話をよく聴くという姿勢で臨むことが肝要となる。また思春期の時期での小児科や内科への受診で頻度の多いものとしては、起立性調節障害などの心身症、機能性疾患となる。こうした思春期の代表的な疾患の診断での留意点を考える上でも診断エラーという観点からの学びは非常に重要である。
心身症は身体的疾患であるが、心理的、社会的なストレス因子の関与があるものと定義される。つまりこうしたストレス因子の存在を過度に取り上げること(認知のアンカーリング)が診断エラーにつながる。また知識が足らず適切な身体的な鑑別診断が浮かばないことからも診断エラーは生じうる。そして一度心身症の診断がなされても、その経過中に症状が悪化する、もしくは他の症状が出現した場合には器質的疾患の可能性を再度考慮する必要がある。また身体的な疾患だけではなく、うつ病などの精神科的な疾患の除外が適切になされる必要がある。こうした思春期の診断は全人医学的も言えるものであり、当然その診断には身体的、精神的、社会的からの広範囲の判断が不可欠となり、診断エラーもこうしたいろいろな判断の過程から生じうる。治療者は十分な医学的な知識を持ちながら、認知バイアスを意識して診察を行う必要があり、そしてその後の診療において、予想しにくい経過、また症状の改善が一向にない場合にさらに謙虚で丁寧に診察を行うことが診断エラーを防ぐ最大の道であろう。当日はモデルケースケースを提示しながら思春期の診断の留意点、またやりがいに関してもお話させていただきたい。

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