Consultative medicine―Diagnostic excellence時代のコンサルテーションを考える―
他科の医師に患者について相談することは,「コンサルテーション」「対診」など様々な呼称で,昔から行われてきた.しかし,医療システムが過度に細分化された現代,非典型的で複雑な病態の患者は,複数の専門診療科の間を渡り歩き,しばしば長い診断の旅路(Diagnostic journey)を強いられるようになった.近年,総合診療医が中心となり,多職種で診断困難症例に立ち向かう仕組みがConsultative medicineとして欧米を中心に確立しつつあり,診断が付かずに苦しんでいる患者たちの良質な診断(Diagnostic excellence)に寄与するものとして期待されている.
2022年春には,スタンフォード大学の診断に特化したコンサルテーション部門に紹介された患者の背景・診断的な転帰に関する研究がDiagnosisに発表された.同年,座長らも,自身が所属する大学病院総合診療科外来に紹介された患者の新規診断率や,コンサルテーション後の転帰に関する論文を発表した.このように,Diagnostic excellenceの視点が浸透しつつある中で,コンサルテーションの実態を学問的に明らかにする機運が高まっているが,日常診療に還元できるような結論は未だ得られていない.
「総合診療医へ診断目的に紹介されるのはどのような患者か?」「診断のために総合診療医は何をすべきで,どのようなスキルを持つべきか?」「紹介元の医師は総合診療医に何を期待しているか?」「総合診療医からの紹介を,他科の医師はどのように感じているか?」本セッションではこのような問いについて,先行文献を紹介しながら検討する.なお,総合診療科以外の専門科を代表して,リウマチ専門医であり,座長と親交のある冨塚崇史先生を演者としてお迎えする.総合診療医はしばしばリウマチ膠原病を疑う状況に出会うが,今回は関節炎患者や自己抗体陽性患者などを例に,専門医への適切な紹介のタイミングについてアドバイスを賜る予定である.コンサルテーションにおいて総合診療医に求めることなどについても,率直な意見を頂きたいと思う.時間が許す限りフロアの皆様からも意見を頂戴して,インタラクティブなセッションにしたいと考えている.