病院における患者協働の推進: AHRQ患者協働ガイドを実装できるか?
患者・家族との協働(ペイシェントエンゲージメント)は、病院の運営方針や診療方針に組み込むことで様々な効果が期待できると近年示されてきた。これにより、患者協働を診療に組み込むことは世界中の病院にとってより重要な取り組みとなっています。
具体的には、投薬エラーや転倒の減少など医療の質・患者安全の向上、患者数の増加のみならず在院日数の短縮化や離職率の低下などによる財務状況の改善、患者経験(PX)の指標であるCAHPS®の向上、患者の疼痛・血圧や血糖値といった診療アウトカムの向上、市場シェアと競争力の向上による外来や入院の患者数の増加、従業員の経験(EX)や満足度と定着率の向上、Joint Commissionの認定基準への対応、といった幅広い効果が示されています。
今回、我々は、医療研究品質機構(AHRQ:Agency for Healthcare Research and Quality)が発行した、病院における患者協働戦略ガイドをAHRQの許可を得て翻訳することになりました。https://www.ahrq.gov/patient-safety/patients-families/engagingfamilies/guide.html
本ガイドで示される患者協働戦略を日本の病院で実装可能であるかどうかについて、市中総合病院、大学病院で患者安全に関わる病院総合診療医から各施設の患者協働についての取り組みを紹介したのちに、患者協働の課題と解決策について議論し、日本の病院における患者協働を病院総合診療医がリードする風土の醸成をみなさんと作りたいと考えています。