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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[O-019] 繰り返すランダム皮膚生検で診断した血管内大細胞型B細胞リンパ腫の一例


【背景】血管内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B-cell lymphoma: IVLBCL)は全身の細小血管内にて選択的に腫瘍増殖をきたす節外性リンパ腫の一つである. 今回, IVLBCLを疑って精査, 生検を進めるも確定診断がつかず, 診断までに時間を要した症例を経験したので報告する.【症例】55歳女性【主訴】発熱, 呼吸困難【病歴】来院3週間前より間欠的な発熱と呼吸困難を自覚し, 市販薬で経過観察をするも改善せず, 発熱が持続したことから当院紹介された. 【所見】バイタルサインは体温を含め安定しており, 身体所見上は神経学的所見, 皮膚所見を含め陽性所見はなかった. 血液検査では血球減少や肝機能・腎機能異常はなく, LDH高値(717U/L)を認めた.【経過】Pel-Epstein様の3週間遷延する発熱や血液検査の結果から, リンパ腫を暫定診断とした. 血液培養検査や全身造影CT検査, 抗体検査を行いつつ感染症, 膠原病の除外をすすめた. 併せて, 組織学的診断のためにPET-CT検査や頭部MRI検査で生検部位を検討したが優位な集積や異常信号は認めずランダム皮膚生検(random skin biopsy: RSB)やリンパ節生検も陰性であった. 骨髄生検や副腎生検は行えなかったことから, 有症時の短期的な入院を繰り返しつつ経過観察したところ, 初診4か月後に酸素飽和度の低下と血小板減少, 血中可溶性インターロイキン2受容体の上昇を認めた. 再度RSBを実施したところ小静脈内に大型細胞の集簇を認め, 免疫染色の結果からIVLBCLと診断した.【考察】IVLBCLの診断は多様な全身症状と臓器特異性の欠如から診断遅延や診断困難となる疾患の一つである. 近年, RSBの有用性を報告するものがあるが, 感度は十分といえない上, 施行部位やタイミングに定説はない. 本症例でもIVLBCLを念頭にRSBを実施したが診断がつかず, 2度目のRSBで診断することができた. 後方視により既報のRSBの陽性化予測因子が出現した際に2度目が行われていたことが分かった.【結語】IVLBCLにおけるRSBは繰り返し行うことを念頭に実施すべきであり, 陽性化予測因子はRSBの実施タイミングを検討する上で有用である可能性がある.

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