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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[O-017] 動物病院勤務後3か月で発症したBrucella症


【背景】生来健康でX年7月から動物病院に勤務しており、受診するイヌやネコのお産を含めた処置や介助による接触機会があった。
【症例】26歳女性
【主訴】発熱
【病歴】X年9月7日から38-39度台の発熱と全身倦怠感を認めるようになり、9月9日にCOVID-19 PCR検査を受け陰性と確認されていた。9月13日当院発熱外来を受診され、採血では軽度の肝機能異常、血小板減少を認めるが、WBC正常範囲で核左方移動はなくウイルス感染疑いとして帰宅となった。その後血液培養でGNRが検出され、精査加療目的で入院となった。
【所見】血液検査:AST 58 U/L,ALT 139 U/L, LD 226 U/L, BUN 9.3 mg/dL, 血清Cr 0.66 mg/dL, eGFRcre 88.7ml/min/1.73m2, WBC 5.60×10*3/μl(neutrophil 47.6%, lymphocyte 42.7%, monocyte 8.8%, eosinophil 0.5%,basophil 0.4%)RBC 448×10*4/μl,Hb 12.6g/dl,血小板 30.1×10*4/μl, IgG 1227 mg/dL, PCT 0.13 ng/ml, 抗核抗体(ANA) 40未満
【経過】入院翌日は9月13日の血液培養感受性結果よりPIPCを開始し、以降は全身状態保たれているものの、37-38度台の発熱を認めていた。造影CTでは軽度の脾腫と右頸部リンパ節腫脹を認めたものの、明らかな膿瘍形成などの感染巣は認めなかった。10月4日、16sリボソームRNAシーケンス検査でBrucella属が疑われ、残血清を国立感染症研究所に送付しBrucella.canisと同定された。Brucella症の治療としてDOXYを6週間投与、併用薬はGMを選択し治療の変更を行った。変更後は熱発なく経過し、CRP陰性化と肝機能異常の改善を確認し10月14日に退院となった。
【考察】本症例のように動物との接触機会がある患者では、WBCが上昇していなくてもBrucella症を考慮して血液培養を採っていたことが診断の鍵となった。
【結語】Brucella症の一例を経験した。背景には患者に動物との接触機会があり、接触感染による発症が考えられた。文献的考察を加えて報告する。

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