今後の在宅領域における総合診療と診療看護師の有用性について
2025年、団塊の世代といわれる800万人が全て後期高齢者となり、さまざまな影響が発生するといわれている。社会的影響の一つとして医療費、介護費の増大がある。
後期高齢者の一人当たりの年間医療費は、75歳未満では平均22万2000円だが、75歳以上は93万9000円とおよそ4倍となっている。介護費も後期高齢者は大きく膨れ上がることが予測されている。医療費用の抑制を図るために、病院完結型医療から地域完結型医療を目指した地域包括ケアシステムの導入。介護費用の抑制を図るために、回復期病床を増床とする病床再編いわゆる地域医療構想の導入が決まっている。
当法人は、東京都杉並区と町田市に訪問看護ステーションと通所介護事業を展開している。杉並区と町田市の高齢者人口は、東京都で8番目と9番目を占めており、およそ11万7000人の高齢者が生活をしていく地域である。京都大学大学院医学研究科地域医療システム学講座の研究によると65歳以上の高齢者においては62.8%が多疾患併存状態であることが報告されている。
以上のことから、在宅分野では今後、多疾患併存状態の患者の対応が多くなることが推測される。多疾患併存状態で、どの疾患が原因となっているのか不明な状態。いわゆるマルチモビリティ患者の対応には、総合診療の知識が必要で、今後在宅分野では総合診療科での経験を有している診療看護師の活躍が、地域完結型を遂行するには必要不可欠であると考える。