What`s NP`s Diagnosis〜院内と在宅、異なるstageから診療看護師(NP)の“診る”を振り返る〜
団魂の世代が後期高齢者となる2025年、高齢者人口がピークになると予測されている2040年、それに併せ人口減少も避けられない現状にあり、医療・介護の制度的対応が急務とされている。その中に医療職のタスクシフト・タスクシェアも積極的に議論されており、我々診療看護師(NP)も議論の対象になっている。
米国等のNurse Practitionerは州によって差があるもの、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる。本邦の診療看護師(NP)は現状日本の法律において看護職であり、医師の指示を受けなければ医行為を行うことはできず、また、診断や処方を行うことはできない。ここでいう診断とは病気や病状、病的状態を取り扱う医学的診断(medical diagnosis)を指している。看護においても 病気や心理的要因などから起こる患者の様々な問題に対する解決策を導き出す過程として看護診断(Nursing Diagnosis)があり、その診断をもとに患者へ適切な看護ケアを日々行っている。
看護診断+医学的診断の双方に携わることができる診療医看護師(NP)が実臨床においてどのような診断を元に問題解決プロセスを経て、最善の転機に繋げているのか。
今回、私自身が病院と在宅(訪問看護)、異なったstageで経験した事例を、“診療看護師(NP)の行う診断”という視点で振り返りを行なった。医学と看護学、そこに臨床における“現実”が加わることで様々な狭間が生じることがある。診療看護師(NP)はその狭間も含め、ホリスティックな視点で事象を捉え、フレキシブルかつシームレスに対応することが可能であり、対象をより最善につなげることのできる存在である。
診療看護師(NP)の制度化に際し、医行為や処方権といった裁量権の部分に着眼されることが多い中、診療看護師(NP)の行う診断(NP`s Diagnosis)は現状の法制度の中でもヘルスケアを展開する上で有用ではないかと考える。