地方における診療看護師からみた今後の展望〜地域にフィットしていく診療看護師〜
日本では、2011年から診療看護師(Nurse Practitioner:NP)が活動を開始した。現在では670名のNPが全国で活動し、各地域の医療を支えている。
現在、四国には2名の診療看護師が活動している。そのうちの一人である私は、施設間異動により徳島県初の診療看護師として3年目を迎えた。前施設は600床以上の病床数を有する大病院であり、クリティカルケアのローテーション研修を行う環境として最適であった。研修後は、麻酔科に所属しながらも単科に留まることなく各診療科のニーズに合わせて活動を行い、多くの経験を経てることができた。その後、東徳島医療センターで診療看護師を立ち上げとなったため、活動を開始前には診療看護師についてのインフォメーションを行い、同時に自身が培った経験の明示を行った。現施設では、診療看護師との協働は初であったが責任者となる医師をはじめスタッフの理解を得て、経験を活かした活動の拡大につなげることができた。その内容は、麻酔導入デバイスの選択や疼痛コントロール、褥瘡や創傷管理をはじめ障害児のケアや地域連携など多岐に渡っている。
このように診療看護師の背景は様々で、また実際の活動をするフィールドも多種多様である。私自身も助産師資格を有しており、周産期医療やウィメンズヘルスケアはもちろんのこと、看護師としても内科や外科など様々な診療科・病棟を経験している。さらに診療看護師としての現在では、診療部に籍を置き手術室看護師を兼任しながら各科の手術や処置、嘱託医不在時の管理や救急外来、病棟・地域との連携などにも携わっている。このように横断的に活動しているのは、医師をはじめ医療従事者が限られている施設および地方ならではと考える。
これからの診療看護師は、その施設や地域に合わせ自らが柔軟に変化することにより、多岐にわたる役割を熟していく存在として求められていると考えている。