[O-003] オミクロン株流行期における新型コロナウイルス感染症入院症例の問題点
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)におけては、デルタ株流行(δ)期症例に比し、オミクロン株流行(O)期症例では軽症者の比率が高率であったことが知られているが、実際の入院症例の管理において、報告される状況とは異なる印象が強かった.今回当院に入院となったCVOID-19症例を期間ごとにδ期症例とO期症例に分類し、その患者背景(年齢、重症度、併存症など)と在院日数等を比較検討した.症例数は852例(δ期;187例、O期;665例)であった. O期COVID-19症例は有意に高齢で(δ期;47±16歳、O期;58±23歳、p<0.001)、軽症が有意に多く(中等症Ⅰが有意に少なく)、血液検査では白球数が有意に高値(δ期;5,070±1,922/μL、O期;5,457±1,898/μL、p=0.025)で、LDHは有意に低値(δ期;223±79U/L、O期;195±71U/L、p<0.001)を示したが、フェリチン、TARCでは両群間で有意な差を認めなかった.在院日数はO期COVID-19症例でわずかに延長した(δ期;4.3±1.3日、O期;4.8±1.3日).O期COVID-19症例はδ期症例に比し重症度は低かったが、年齢が有意に高く、感染病棟在院期間はやや延長し、後方支援病院(病棟)への転院(転棟)は有意に高率(δ期;0例/0%、O期;46例/6.9%、p<0.001)であった.O期のCOVID-19入院症例は、基礎疾患を持つ高齢者が大多数を占め、COVID-19自体の問題以上に合併症や併存症の悪化、リロケーション・ダメージなどが影響し、必要以上に総入院期間が延長した可能性が示唆され、今後軽症症例の入院適応に関しては更に慎重な検討が必要と考えられた.