[O-014] 日本紅斑熱にGuillain-Barre症候群が合併したと考えられた一例
【背景】72歳男性【主訴】発熱【既往歴】なし【現病歴】2022年8月上旬に広島県安佐北区の山林を登山後、発熱、全身倦怠感、皮疹を自覚し紹介医を受診した。ツツガムシ病が疑われ当院を紹介受診した。【身体所見】JCS 1、血圧 84/62mmHg、心拍数 78bpm、呼吸数24回 /分、SpO2 97%、胸部から下腿に小紅斑が散見、右下腿後面に痂皮あり、構音障害あり【検査所見】WBC 6280 /μL、Plt 2.2 万/μL、CRP 19.521 mg/dL、Cre 2.73 mg/dL、総ビリルビン 2.2 mg/dL【入院後経過】ダニ媒介感染症による多臓器不全と診断し、ミノサイクリンで治療開始したが腎機能の増悪あり、第2病日にCHDFを開始した。上下肢の脱力を認めていた。呼吸不全の進行も加わり第3病日に集中治療を開始し、レボフロキサシンの追加投与とステロイドパルス療法を開始した。第4病日にRickettsia japonica PCR検査が陽性だったため、日本紅斑熱と診断した。第8病日に人工呼吸器を離脱した第10病日に抗菌薬を終了したが、脱力や構音障害は続き、嚥下障害も認め、腱反射も低下していたため髄液検査を行い、蛋白質細胞乖離と抗GM-1 IgG抗体陽性を確認した。【考察】当院受診日に構音障害を認め、入院後に脱力も伴っていたが多臓器不全によるADL低下と推察していた。しかしながら、炎症反応や他の臓器障害が改善後も神経症状が持続したため、Guillain-Barre症候群(GBS)を疑い抗GM-1 IgG抗体を提出したところ陽性だった。四肢麻痺、球麻痺、四肢腱反射消失などの臨床症状に加え、抗GM1-IgG抗体が陽性であったことから、本症例はGBSの合併の可能性が考えられた。日本紅斑熱によるGBSの症例は本邦では報告がない。【結語】日本紅斑熱にGBSが合併した貴重な症例の可能性があり、報告した。