Restless X syndromeの診断戦略
【戦略名】特異的なキーワードからRestless X syndromeを診断する
【背景】Restless legs syndrome(RLS)は通常、夜間の耐え難い下肢の不快感として症状が表出することが多いが、部位は下肢に限定されず、体幹、上肢、顔面、外性器や、膀胱など臓器に生じる場合もある。また、錐体外路症状であるために訴えは多彩かつ言語化困難な異常感覚となりやすい。非典型的な部位や表現の症例においては多くの診療科で精査を受けるも診断がつかず、しばしば心因性と誤診され、抗不安薬や抗うつ薬などの使用により更に症状が悪化して総合診療科を受診する場合も少なくない。そうした診断困難例を通して、主にRLS亜型について診断するための戦略を考案した。
【利用例】睡眠障害を伴う夜間中心の症状で、症状部位の運動や感覚/知的刺激によって軽快するという特徴的な病歴が認められた場合には、Restless X syndromeを想起する。具体例としては、・中途覚醒の原因となっている夜間の腹痛が、腹筋運動によって軽快する。これをRestless abdomen syndromeと診断した。・夜間睡眠中に生じる背部の震えが、テレビの視聴によって軽快する。これをRestless back syndromeと診断した。
・日中運動時にはない夜間のみの呼吸苦症状が、臥位のまま深呼吸によって軽快する。これをRestless chest syndromeと診断した。