Multi-layer framework
【戦略名】Multi-layer framework
【背景となる理論・着想】
Pivot and cluster strategyより着想を抱き、フローチャートを組み合わせたものである。
コンセプト:中心に認識した病歴、身体所見、検査所見やその組み合わせなどを置き、その周辺に場合分け可能な要素を置いていく。場合分けは、単純に診断名でも良いし、病歴の時系列、3C(critical, common, curable)などコンセプトでもよい。一度診断名の層にたどり着いたら、その次の層はその疾患をrule inやrule outするのに必要な病歴、検査、診断基準とし、層を終える。出来上がったものをMapと呼ぶ。Mapは自身で経験を積む中でDiagnostic calibrationされていき、各々自分流で改変することができる。また、各種中心に据え置いた出来事に遭遇した時に、具体的にどのような病歴聴取や検査などを行なっていったら良いかを瞬時に想定していける。多種の症状を持つ場合は、中心に置いた症状そのものを、症状の組み合わせに変更した方が診断名を想起しやすいのか、それとも複数のMapを行き来しながらアプローチした方が良いのかを検討する。実際に症例にアプローチする場合も、各層毎にアプローチを行っていくが、最終的に診断に迫る層では、想定している事前確率や緊急度によってアプローチを行う順番を決めていく。若手医師を指導する場合にも、Mapを用いて説明すると視認性が高く説明しやすいというメリットがある。認知バイアスの中では、アンカリングバイアスや利用可能性バイアスに対応するが、フレーミングに影響される。【利用できる具体的な状況】以上のコンセプトを、めまい、失神、呼吸音減弱、徐脈について具体例を示しつつ解説を行う。