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2月18日 (土)

プログラム

抄録





matching game


【背景となる理論、または着想など】
医療従事者やその関係者が外来を受診してきた際に、嫌だなと感じる事はありませんか?皆さん一度はこのようなケースで診療に苦慮した経験があるかと存じます。特に受診してきた方がその領域の専門の医師であった場合や、自分より経験年数が長い医師だった場合のことを考えてみてください。その医師が自身の考えている診断名を伝えてきたり、こちらが不要と思う検査をして欲しいと要求してきたり、逆にこちらが提案する検査を意味がないからと言って拒否したり。仮にその診断が的外れで、要求された検査が不要だったとしても、無下には扱えないのではないかと思います。誰かの初期診断に引っ張られて、アンカリングされた結果診断が歪み、医師患者関係が悪化してしまうということはよくあることです。
【利用できる具体的なケース】
総合診療医は自身の病院職員のヘルスメンテナンスや体調不良の救急対応を行うことも多く、他の診療科と比較しても医療関係者の受診の頻度は多いと思います。そこで医療関係者が受診してきた際に、まず「あなたの考える診断名を伏せてください」と伝えます。その後我々が問診・身体診察を終え、暫定の診断や今後予定している検査・治療方針を伝える際になって初めて同時に患者側の思う診断を伝えてもらう「matching game戦略」を普段の診断戦略として取り入れています。この診断戦略を行うことのメリットは、患者からのバイアスを最小限に抑えながら、自身と患者側の医療関係者双方の診断のゆがみを解消できることです。診断がマッチした場合には別々に考慮した2人の医療関係者が同じ診断に行きついたということで精度が高いと言えます。もし診断が異なってしまった場合でも、患者側の疾患への解釈や聴取できていなかったその診断に至った根拠を得ることができ、新しい疾患の鑑別やより良い治療方針を患者と共に組み立てることができます。その結果医師と患者がより良い診療と治療に行きつくための良いペアになることが可能なのです。






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