病院総合医の診断戦略の提案
【戦略名】病院総合医の診断戦略
【背景となる理論・または着想など】
近年、二重過程理論、状況生、多職種アプローチを含め、診断プロセスに対する考え方は急速に進化し、診療?(何)領域毎の診断プロセスの検証も進んでいる。例をあげるとマルチタスクの中で緊急性のある疾患の評価を求められる救急医は主にSystem1ベースで鑑別診断を上げ、致死的な疾患の除外はSytem2ベースで診断プロセスを進めている事がわかっている。一方で鑑別診断が広域で未診断症例が多く、致死的な疾患の可能性が相対的に低いプライマリ・ケア領域では、帰納的渉猟を中心とした病歴聴取で患者中心性を取り入れつつ病歴聴取を行う方法が検証されている。しかし、病院総合医の外来および病棟診断プロセスに関しては検証が乏しい。急性期疾患の対応、救急医からの引き継ぎ、院内合併症への対応、プライマリ・ケア医へのケア移行、など様々な点において病院総合医は特殊性があり、最適な診断戦略を検討する必要があると考え本着想にいたった。
【利用できる具体的な状況】
クリニカルセッティングから病院総合医は入院時点、治療経過、入院合併症、退院前の主な4点においてその特殊性に対応した臨床推論とアクションが必要となる。①入院時点では前医の診断が合致するかCritical thinkingを行い、Diagnostic momentumのバイアスに対応する ②治療経過に合致しない症例の鑑別の見直しや補足対応を常に策定する、③入院中に発症する有害事象(薬剤性、合併症等)に熟知すること、④退院時ケア移行ヘルスメンテナンス(骨粗鬆症予防、胃切除後の未補充VitB12等)。上記4点の具体的な臨床状況をあげつつ、その戦略の共有を行いたい。