PubCaseFinderを使用した難病診断戦略と、みんなで症例登録システムを活用して症例コーパスを育てよう
【戦略名】みんなで作る診断資源戦略【背景】難病・希少疾患は世界で4億人とされるが、疾患数が1万を超えており、一つの疾患に対する患者数は非常に少ない。そのため専門医は少なく、臨床医は経験することなく患者に出会うため、診断に平均5-7年と非常に長い期間を要する。これまでは教科書や論文、また学会での学びが主であったが、近年ではデータベースを活用した鑑別診断探索も用いられ始めている。これらデータベースは過去の症例報告などのデータを集積し、症状の組み合わせから鑑別を挙げるシステムであるが、PubCaseFinderでは英文症例報告の抄録から抽出したテキストデータに対しHuman Phenotype Ontology(HPO)に基づいてアノテーションされた症例データベースを活用している。”知らない疾患は診断できない”、との格言に則り、PubCaseFinderは難病・希少疾患の診断に対し心強いツールとなっている。一方でこのようなツールは、機能特性はデータセットに依るといった点や、症例報告の出版バイアスによりリアルワールドデータが反映され難い、といった課題も残っている。また、難病・希少疾患では症例数が少ないため国際的な症例共有が進んでいるが、日本からの症例共有もより一層推進していく必要がある。この課題に対し、私たちは難病・希少疾患の日本語症例報告から構造化データを抽出するシステムを多職種で連携し、症例テキストデータへの半自動アノテーション機能、遺伝子変異も含む様々な臨床情報を症例ベースで集積し、国際的な症例共有が可能なデータ形式で出力が可能な症例登録システムなどの開発を行い、PubCaseFinderの診断性能の向上を目指している。この開発過程で、多くの臨床医の先生方との協働が重要であると分かった。【活用例の紹介】プレゼンでは、臨床医としてPubCaseFinderの活用法をデータセットの特性も含めて述べ、また症例登録システムを活用した一般疾患での臨床研究応用やデータベース構築への貢献、そしてシステムの診断能向上について話し、協働して頂ける先生方を募りたいと思う。