ローテーションこそ学ぶ時、Review of Systemを使った研修生存戦略と、学び方を学んだ神経内科後期研修
【戦略名】基本の徹底は奇跡を産む戦略【背景・着想】筆者は16年前に初期研修を開始し、これは導入され2年目であった。全科が揃い、3次救急を有し、常勤医師数が比較的少なく、研修医数が多い研修先を選んだ。予想通り多くの緊急入院と、研修医に任される症例は多かった。しかし担当患者は増え続け、研修1年目の1ヶ月目に10人、2ヶ月目には20人を超え、キャパオーバーで緊急呼び出しのPHSが鳴り止むことは無かった。しかしこれら呼び出しは、入院の時点でしっかり内服歴、アレルギー歴などの基本情報の収集ができていれば防ぎ得るものであった。そこで入院直後に、症状の10ヵ条(痛みの10か条を改変)+Review of System(ROS)を”はい”、”いいえ”の丸付けで回答できる、入院時サーベイシートを患者に渡し、本人または家族が記入後に、病歴と診察を行う、という戦略をとった。
一度 自身の健康状態をサーベイした後、かつROSを参照しながらの病歴聴取と診察になり、効率的かつ漏れと無駄のない形が可能となった。本人が記入できない場合、家族に記入して頂き、診察もご家族同伴で行うことで、最大限の情報収集を目指した。これにより基本情報の漏れは激減し、防ぎうる事態を予防できる様になった。ローテーション中のすべての患者で行った事で、患者さんごとの入院診療科や主病名ごとにおける、Review of Systemの陽性・陰性項目の偏りを感覚的に掴むことが出来る様になり、併存症の拾い上げも感度良く行える様になった。同じ型を繰り返す事が、患者間の比較を可能とし、自身の中でのスタンダードを作ることに有用との気づきを得て、後期研修では神経診察をフォーマット化し、繰り返す中で、神経所見の簡単スクリーニングと、症状や所見に応じたより深い病歴聴取と診察、という2段階の診療を実践してきた。今回のプレゼンでは、情報収集の型による患者さんからの学びとして、具体的なROSや神経診察の使い方を提示し、ご意見・ご批判を頂きたいと考えております。【利用できるケース】全入院症例、神経症状を有する患者