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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-011] 当院での経皮的内視鏡的胃瘻造設術における術中から術後早期の合併症 主に出血について


【背景、目的】経鼻胃管の長期留置は様々なチューブトラブルや皮膚潰瘍が生じることがあるため胃瘻からの経管栄養に移行した方が望ましい。現在、経皮的内視鏡的胃瘻造設術(PEG)施行前に嚥下機能評価を行うことが推奨され、必要なカロリーを経口摂取困難と判断された場合、PEGが選択肢の一つとなる。PEGを施行される患者の多くは高齢かつ栄養状態が不良で、認知機能の低下により意思表示も困難であるため多くの場合、患者家族の希望によりPEGが施行される。PEGは出血高リスク群の内視鏡的手術であり、早期合併症には出血のほか、他臓器の誤穿刺、デバイスの逸脱などが挙げられる。当院におけるPEGの術中から術後早期の合併症を調査した。【方法】当院では2019年1月から2022年9月までに93名の患者にPEGが施行された。患者年齢の中央値は82歳で、食道癌による食道狭窄に対してPEGが施行された3名を除く90名は認知機能や嚥下機能の低下による経口摂取困難のためPEGが施行された。観察は全例、経鼻アプローチで行い、術後、著明な鼻出血が生じた症例はなかった。全例で鎮静にはジアゼパム注射2.5-5㎎を使用し、セルジンガー法で、バンパー/ボタン型の胃瘻デバイスを留置した。【結果】胃瘻が造設された部位は胃部分切除後を含め前壁側78名、大弯側15名であった。出血イベント7例の内訳は胃壁穿刺部の血腫1例、胃出血3例、止血処置が要した刺入部皮膚からの出血3例であった。胃出血3名は上部消化管内視鏡検査を再施行し、出血を確認し、うち1例は止血処置を行った。抗凝固薬や抗血小板薬を内服していた43例に対しガイドラインに沿って薬剤の調整を行い、うち5例に出血イベントが生じたが、術当日から術後3日以内に脳梗塞、心筋梗塞、その他血栓塞栓症を発症した症例はなかった。胃以外の内臓損傷や術後にデバイスが逸脱した症例はなかった。【結語】PEGの早期合併症のうち処置が必要な出血が生じた症例を経験した。特に抗凝固薬、抗血小板薬の投与例は非投与例と比較し、出血が生じやすいと考えられる。

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