[P-005] 急性期病院において診療看護師(NP)が介入したことで早期治療に繋がった低ナトリウム血症の一例
【背景】日本では, 医師の指示の下で患者のQuality of Life(以下QOL)向上のために一定レベルの診療が行える診療看護師(NP)が養成され, 医師の働き方改革におけるタスクシェア, タスクシフトといった面で期待されている. 今回, 診療看護師(NP)が救急搬送されたcoronavirus disease-2019(以下COVID-19)患者に併存した低Na血症に対し, 外来中の医師と協働したことで重症転化することなく経過することができた症例を経験したため報告する. 【症例】62歳, 女性. 【主訴】倦怠感, 意識障害. 【病歴】COVID-19感染症で自宅療養されていた. 発症9日目に強い倦怠感出現し入浴介助中に意識消失し救急搬送となった. 【入院時所見】心拍数73回/分 整, 血圧159/100mmHg, 体温36.8℃, 呼吸数18回/分, Spo2 96%(室内気). Glasgow come scale(以下: GCS) E4V4M6. 皮膚ツルゴール低下あり, 腋窩軽度乾燥をみとめる. 血液検査では, Na 112mEq/L, K 2.4mEq/L, CL 75mEq/L, 補正Ca 9.3mg/dL. 【入院後経過】高度低Na血症みられ内分泌内科への副科介入依頼となったが, 医師による即時対応は困難な状況にあり診療看護師(NP)と医師による協働管理による迅速な治療介入が行えるよう環境調整を行った. 3%高張食塩水での補正を急速補正とならないよう厳密に行い, 第2病日には血清Na119mEq/L, 第3病日には血清Na値126mEq/L迄改善し生理食塩水に変更した. 第5病日には生理食塩水を終了し塩化ナトリウム3.0g/日内服に変更した. その後第7病日で塩化ナトリウム内服を終了し, 第9病日にCOVID-19治療経過も良好と判断され自宅退院となった. 【考察】本症例では, 診療看護師(NP)と外来診療中医師と協働したことで, 重篤化する前に迅速に対応するための準備ができ, その後の治療に繋げることができたと考える. さらに, 病棟看護師とも患者を一緒にケアしていくパートナーとして, どのような部分に注視すべきか, 異常徴候が見られる場合に何が考えられるのかといった判断を共有することで質の高いケアの提供に繋がったと考える. 【結語】診療看護師(NP)は医師と共に病態管理を「診療の補助」として実践し, 「療養上の世話」であるケアに関してもアプローチするといった全人的な患者理解を行っている可能性がある.