[P-015] DIC、急性腎不全、肺血栓塞栓症を合併したⅢ度熱傷・MRSA感染によるTSSの一例
【症例】57歳、男性【主訴】発熱、下痢、呼吸困難感【現病歴】X年1月中旬に電気毛布で左臀部に低温熱傷を受傷、ガーゼ保護で経過観察となっていたが、2月より突然の高熱、頻回の水様便が出現、食欲低下・労作時呼吸困難感を伴うようになり当院受診となる。来院時BT38度、BP 82/48mmHg、HR 135/min、SpO2:88%(RA)とショックバイタルであり、血液検査ではCRP 23mg/dl、WBC 15590/μl、Plt 10.2万/μl、Cr 5.9mg/dl、FDP 33.4μg/ml、D-dimer 35μg/mlと著明な炎症所見、腎機能障害、凝固機能異常を認めた。CTでは明らかな感染巣は指摘しえなかったが、左臀部に一部黒色変化があるⅢ度熱傷を認め、突然の高熱・下痢で発症しDICを伴う敗血症性ショックという経過からToxic shock syndrome(以下、TSS)の可能性が高いと判断し入院となる。臀部デブリ処置を行い、MEPM・CLDMに加え、カテコラミン・免疫グロブリンの併用加療を開始した。腎機能障害のため造影検査は行えず、心臓超音波検査では右室負荷所見はないが、下肢静脈エコーで左大腿部から膝窩静脈に血栓を認め、肺塞栓症の可能性が高いと判断し、ヘパリン持続点滴も開始した。その後、徐々に感染兆候・酸素化の改善を認めカテコラミン投与を終了、腎機能は正常化しヘパリン持続点滴からDOAC内服に切り替えた。熱傷創部の培養検体からMRSAを検出、抗菌薬をVCMに変更した。その後創部の菌検体からTSS Toxin-1 (TSST-1) 陽性と判明、また入院後14日目には手掌の落屑を確認した。【結語】DIC、急性腎不全、下肢静脈血栓・肺血栓塞栓症を合併した臀部Ⅲ度熱傷・MRSA感染によるTSSの一例を経験した。背景にアルコール多飲があり、重篤化した可能性が考慮された。文献的考察を加えて報告する。