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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-018] リウマチ性多発筋痛症様症状をきたし微小変化型ネフローゼ症候群を合併した腸管ベーチェット病の一例


【症例】78歳男性。【主訴】発熱、多関節痛。【現病歴】初診2か月前より発熱、1か月前より腹痛、肛門痛、下痢が出現した。X月Y日上背部痛が出現し前医を受診、精査目的にX月Y日当科紹介受診した。【身体所見】体温 39.2 ℃、2ヶ月で5kgの体重減少あり。頰粘膜および陰嚢、肛門に有痛小潰瘍あり、肛門からは粘液の排出がみられた。上背部から両肩関節周囲にかけて夜間に増悪する疼痛を認めた。上腹部正中および下腹部正中に軽度の圧痛を認めた。【検査結果】血液検査ではWBC 9700 /μL(好中球 82%)、CRP 14.10 mg/dLと炎症反応上昇を認めた。またTP 5.5 g/dL、Alb 2.1 g/dL、随時尿の蛋白尿/Cr比 12.88g/g・Crとネフローゼ症候群の基準を満たす高度の蛋白尿を認めた。Selectivity Indexは0.10と低値であった。【経過】以上の所見より、微小変化型ネフローゼ症候群を合併したリウマチ性多発筋痛症疑いとして第5病日よりメチルプレドニゾロン 500 mg点滴静注を3日間行い、後療法として水溶性プレドニゾロン 60 mg点滴静注を行った。第11病日には解熱し関節痛は消退、尿蛋白は基準値以下となり、CRPは0.92 mg/dLまで改善した。一方で上腹部痛や下痢、肛門痛は持続していた。悪性腫瘍の合併の可能性を考え上下部内視鏡検査を行ったところ、胃前庭部前壁、回腸末端から横行結腸にかけて複数の潰瘍性病変を認めた。HLA-B51は陽性であった。腸管ベーチェット病と診断し第23病日からコルヒチン 1mgの内服を開始したところ、腹部症状は改善傾向となった。その後再度CRPが上昇傾向となったためメサラジン3000mg内服、コルヒチン 1.5mgに増量、インフリキシマブの導入を行い寛解を維持している。【考察】リウマチ性多発筋痛症と類似した臨床像を呈し腸管ベーチェット病の診断に苦慮した症例である。微小変化型ネフローゼ症候群を合併した腸管ベーチェット病の症例は、検索した限り報告が少なく貴重な症例と考え報告する。【結語】リウマチ性多発筋痛症様症状をきたし微小変化型ネフローゼ症候群を合併した高齢発症の腸管ベーチェット病の症例を経験した。

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