HOME

2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-022] 脳卒中様の症状で受診したクロイツフェルトヤコブ病の一例


【背景】脳血管障害以外の疾患による症状により脳卒中様の臨床像を呈する病態はstroke mimicsと呼ばれ, 低血糖症や肝性脳症等の代謝性疾患,脳炎や脳腫瘍, てんかん等の神経疾患といった多くの病態が含まれる. 今回めまいと構音障害等の脳血管障害を疑う症状が出現したことを契機に当院救急外来を受診し, その後クロイツフェルトヤコブ病(CJD)の診断に至った一例を報告する.【症例】77歳男性. 来院1週間程前から食思不振と認知機能障害の進行があり, 来院日に15分間程度持続するめまいと構音障害が加わったため救急外来を受診した. 診察時にめまいや構音障害の症状は消失しており, 脳血管疾患を疑って神経・脳血管内科を紹介した. 同科で左上下肢の軽度失調が疑われ頭部MRIを撮像したところ拡散強調画像で右半球の皮質に高信号が認められた. CJDの疑いで精査目的に入院となり, のちにプリオン遺伝子の変異が判明しCJDと確定診断された. 【考察】CJDは国内において年間100-200名の発病が確認されている難病のひとつであり, いまだに治療法がなく発症から数か月で寝たきり状態になり衰弱や感染症により死亡する疾患である. CJDは行動異常, 性格変化や認知症, 視覚異常, 歩行障害などで発症することが多いが, 本症例では脳卒中様症状が目立ち早期に頭部MRIが撮像された. CJDは進行する疾患であるため早期診断の意義が大きく, stroke mimicsのひとつとしてCJDを鑑別に挙げることは有用と考える.

戻る