[P-023] 離島のへき地医療拠点病院における総合診療医の役割と可能性
【背景・目的】沖縄県立八重山病院は人口約5万人の医療圏唯一のへき地医療拠点病院である.離島の公立病院という立場から様々な政策医療を担っている.2018年以前は総合診療科医師は1~2名であった.2019年から2022年にかけて採用数が増え,2022年度は医師7名が所属している.今回2018年度と2022年度の総合診療科の入院患者数,業務内容を記述し差異に検討する
【方法】2018年4月~10月,2022年4月~10月の沖縄県立八重山病院内科入院患者のうち、総合診療科医師が主治医であった患者数を比較する.また2018年度と2022年度の総合診療科の業務内容を比較する
【結果】2018年上半期に総合診療科医師が担当した患者数は,内科入院1458件中88件であり、2022年上半期は1259件中677件であった.紹介状ありの初診外来担当枠は2018年度までは,総合診療科医師と臓器別専門医が協力して対応していたが,2022年は週5日すべて総合診療科医師が担当している.また救急科からの入院受け入れについて2018年は初診外来と同様であったが,2022年は専門的な処置が必要な患者以外のすべての内科入院を対応している.教育については,初期研修受け入れが2018年度は0名であったが,2022年度は18人/半年(月3名),専攻医が3名(自施設2名,連携施設より1名)であった.院内の管理業務として総合診療科医師でICT/AST,緩和ケアチーム,地域連携室,研修管理委員会,蘇生委員会を担っている.【考察】内科の入院患者数は2018年と比較して約7.5倍となっている.また初診外来、救急科からの入院受け入れに関しては平日は総合診療科で担当することで、臓器別専門医が検査や治療に専念でき、負担軽減につながっている.研修医の受け入れ人数も増加しており,本年度は地域医療研修で当院を研修した医師が,総合診療専攻医として着任し,医師確保にもつながっている.
【結語】離島のへき地医療拠点病院において総合診療科医師を増員して業務を担うことはにより臓器別専門医の負担軽減,若手医師の教育機会の確保につながり,さらには人的資源の充足につながる可能性がある