HOME

2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-035] クライオバイオプシーで診断した特発性器質化肺炎の一例


【背景】
近年、びまん性肺疾患を始めとした様々な肺疾患において、クライオバイオプシーの有用性が注目されている。
【症例】
68歳、男性
【既往歴】
前立腺癌、糖尿病
【主訴】
労作時呼吸困難
【病歴】
2週間前から発熱が出現した。1週間前から労作時呼吸困難と左側胸部痛が出現し、当院外来を受診した。血液検査では炎症反応が上昇しており、胸部CTで右上葉から下葉にかけて浸潤影を認めた。 肺炎の診断で抗菌薬内服治療を行なうも、改善を認めないため入院した。
【所見】
体温 37.4℃、血圧 125/70 mmHg、脈拍 90 回/分、SpO2 94%(室内気)、呼吸数 18 回/分。右胸部下方の前面でcoarse cracklesを聴取する。
【経過】
入院後、抗菌薬の点滴治療を行なったが改善を認めなかった。各種検体の培養検査では有意菌は検出されなかった。非感染性の病態を疑い、第5病日からステロイド治療を開始した。症状はやや改善したが、第12病日の胸部CTでは左肺に新規浸潤影が出現していた。第14病日に気管支鏡検査を施行した。気管支肺胞洗浄液ではリンパ球優位の細胞数上昇を認め、クライオバイオプシーで器質化肺炎の所見を認めた。薬剤や関節リウマチが原因として疑われたが、確定診断には至らなかった。そのため、特発性器質化肺炎と診断した。ステロイド治療に加え、 第29病日にシクロフォスファミドを投与した。徐々に病状は改善し、第44病日に自宅退院した。【考察】
本症例では抗菌薬不応の肺炎を認め、非感染性病態として器質化肺炎が疑われた。特発性器質化肺炎の典型例ではステロイド治療への反応性が良好であるが、本症例では十分な改善を認めなかった。そのため気管支鏡検査を実施し、クライオバイオプシーで組織学的に器質化肺炎の確定診断を得ることができた。組織学的な根拠をもとにシクロフォスファミドの投与を追加し、良好な経過を得られた。原因不明の難治性肺炎において、クライオバイオプシーは確定診断および治療方針の決定に有用と考えられた。


戻る