[P-037] 持続性紅斑を伴う成人スティル病に好酸球増多症を認めた一例
【背景】
近年、成人スティル病(以下AOSD)に持続性紅斑や末梢血好酸球増多症を伴う亜型が存在するという報告があり、治療抵抗性であることが示唆されている。今回、重症の不明熱に持続性紅斑と好酸球増多を認め、薬疹との鑑別に苦慮したAOSDの一例を経験したので報告する。
【症例】
ミャンマー出身の21歳女性。生来健康。介護職の仕事のため2年前に来日した。X年9月17日から40℃の発熱、頸部リンパ節腫脹、咽頭痛が出現した。近医で経口抗菌薬の処方を受けたが症状改善なく食思不振も持続したため24日に前医入院した。急性耳下腺炎が疑われPIPCの静脈内投与を開始されたが、26日には頸部・前胸部にかけて紅斑が出現し血液検査で炎症反応高値が持続するため、28日に当科外来を紹介受診した。薬疹が疑われたため被疑薬中止にて経過観察を行ったが、症状持続したため精査加療目的で10月3日に当科入院となった。高熱(弛張熱)が持続しており、入院時血液検査で好中球分画上昇、肝障害、フェリチン 13,488 ng/mLと異常高値であったことからAOSDが鑑別となり、血小板数の減少傾向も認めていたため血球貪食症候群の合併も否定できなかった。一方、AOSDの定型的皮疹様の紅斑と混在して発熱と一致しない持続性皮疹を認めており、入院後末梢血中の好酸球分画が著明に上昇傾向となった。薬疹の可能性は否定できなかったが、難治性のAOSDである可能性も考慮した。皮膚、骨髄、頸部リンパ節より速やかに生検を施行後、膠原病内科・血液腫瘍内科・皮膚科と協議のうえ10月6日よりAOSDに準じてPSL 40mg/日の内服を開始した。各種検査結果から悪性リンパ腫やEBウイルス関連リンパ増殖性疾患は否定的であり、AOSDの診断基準を満たした。PSL開始後より症状や検査所見は著明に改善傾向となった。
【結語】
持続性皮疹、好酸球増多を伴うAOSDは治療抵抗性である。急性の好酸球増多で薬剤アレルギーが否定できない場合であっても、重症化した不明熱患者においてはAOSDを鑑別に挙げることで早期に適切な用量でのステロイド治療を開始し得る。