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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-054] 経過中に血小板減少を来し,TAFRO症候群の診断に至った一例


【背景】初診時に血小板減少を認めていなかったTAFRO症候群を経験したため,報告する.【症例】53歳,男性【主訴】発熱,背部痛【病歴】当院受診2週間前に37度台の発熱が出現した.発熱遷延のため,当院受診1週間前に近医を受診し,感冒の診断でアセトアミノフェン内服にて対応された.症状が軽快しないため,紹介医を受診した.胸部CTが施行されたが,診断には至らなかった.その後も発熱が持続していたため,当院入院精査の方針となった.【所見】体表からは明らかなリンパ節腫大を認めなかった.明らかな浮腫を認めなかった.初診時の採血では,血小板は正常範囲内(338,000/μL),CRP 高値(7.44 mg/dL),BUN上昇(24.0 mg/dL),Cre上昇(1.63 ㎎/dL)と腎機能障害を認めた.胸腹部CTでは,腋窩,傍大動脈,鼠経リンパ節腫大,肝脾腫,胸腹水を認めた.【経過】当院受診時,入院時の検査では,血小板は正常範囲内であったが,経過中に血小板減少(97,000/μL)が見られた.頸部リンパ節生検では,Castleman病様の所見を認めた.以上から,TAFRO症候群診断基準2015を満たし,TAFRO症候群と診断した.初期治療としてmPSL 1000mg/日によるステロイドパルス療法を3日間使用し,後療法としてPSL 70㎎/日を開始し,漸減した.解熱が得られ,胸腹水,炎症反応,腎機能は改善した.血小板減少は遷延したが,退院として外来で継続診療する方針とした.その後,徐々に血小板は上昇した.【考察】TAFRO症候群は,2010年に高井らによって報告された血小板減少,胸腹水貯留,発熱,骨髄繊維化,臓器腫大を特徴とする疾患である.文献的には,血小板数の中央値は43,000/μL,血小板減少を来した例は,25例中21例という報告があり,特徴的な所見であるが,本症例のように受診後に血小板減少を来す場合があり,注意を要する.【結語】経過中に血小板減少を来し,TAFRO症候群の診断に至った一例を経験した.

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