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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-038] 経口摂取困難患者における末梢点滴による生命予後の検討


【背景・目的】本邦では高齢化が進み、経口摂取が困難となった患者に家族の介護力や経済面などの社会的背景や胃婁を避ける風潮などから代替栄養として末梢点滴が選択され療養病院で看取られているケースが増えている。経管栄養や中心静脈栄養での生命予後の報告は散見されるが、末梢点滴での生命予後に関する報告はほとんどない。この研究の目的は末梢点滴での生命予後を明らかにすることである。
【方法】本研究は,後方視的に検討したコホート観察研究である。当院から末梢点滴での看取り目的に関連施設の療養型病院に転院して2021年4月から2022年3月の期間に死亡退院した患者を対象とした。
【結果】対象期間中の関連療養型病院での死亡患者は379例、このうち末梢点滴での看取り目的に入院していた患者は188例であり、絶食指示下にて末梢点滴のみで看取りが行われた患者(絶食患者)は131例(85.6±8.4歳)、お楽しみ程度の経口摂取を継続していた患者(経口摂取継続患者)は57例(86.5±6.4歳)であった。絶食患者が転院前に絶食となってからの生存期間は中央値46日(IQR 26-70)であった。経口摂取継続患者が療養病院に転院してからの生存期間は、46日(IQR 15-97)と、絶食患者の23日(IQR 8-45.5)と比較して有意に長かった(P<0.05)。経口摂取継続患者が療養病院で絶食となってからの生存期間は中央値7日(IQR 2-18)であった。
【考察】この研究からは絶食末梢点滴での患者は1~2か月程度の生命予後であると考えられた。わずかながらでも経口摂取を継続していた患者は絶食患者より転院後の生存期間は長かったが、誤嚥性肺炎などで絶食管理となってからの生命予後は、1週間程度と非常に短く、入院後の経過で衰弱しての結果と推察された。
【結語】絶食指示下で末梢点滴のみでの療養を行った場合の生命予後は1~2か月であった。経口摂取が継続できると生命予後は絶食患者よりは長くなったが、経口摂取できなくなってからの予後は1週間程度と非常に短かった。

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