[P-043] 過度の過換気症候群のため呼吸停止をきたしICUでの管理を必要とした一例
【背景】過換気症候群が無呼吸発作へ至ることはまれである【症例】23歳女性【主訴】過呼吸【既往】てんかん、神経調節性失神、自律神経失調症【現病歴】X年6月30日に過換気発作で当院に救急搬送された。搬送中は会話可能で症状はやや改善していたが病院到着時に再度過換気が出現し呼吸停止と意識障害を来たした。バックバルブマスクで換気開始し酸素化は改善した。また数分で自発呼吸も再開し意識レベルの改善認めたが、その後も頻回に無呼吸発作が出現した。なお過呼吸や呼吸抑制を生じさせるような薬剤は内服していない。【身体所見】病院到着時JCS3,体温36.9度,血圧99/60mmHg,脈拍96回/分,呼吸数32回/分,SpO2:99%,テタニー症状あり【検査結果】動脈血液ガス分析:PH:7.502,PCO2:30.9mmHg ,PO2:436mmHg,HCO3:23.7mmol/l,BE:1.2mmol/l,Lac:2.60mmol/l血液検査:BUN:13mg/dl,Cre:0.71mg/dl,BS:96mg/dl,Na:142mEq/l,K:3.5mEq/l,Ca:9.9mg/dl,TSH:1.48μIU/ml,FT4 1.76ng/dl 心電図:洞調律、ST変化なし 頭部CT:特記事項なし【経過】ICUに入院の上NPPVで呼吸筋のサポートを行う方針とした。NPPVの導入後は無呼吸発作の改善を認め第2病日には一般病棟に転棟し夜間にのみNPPVを継続とした。第3病日には夜間のNPPVも離脱し第4病日に退院となった。今後、精神的ストレスを感じた場合はかかりつけの心療内科を受診し過呼吸の再燃があれば救急受診も考慮するようにお伝えした。【考察】過換気症候群は救急外来で頻繁に遭遇する病態のひとつである。治療は呼吸法の指導、精神療法、心理療法が主であり一般的に予後は良好である。しかし稀に無呼吸発作やそれに続く低酸素血症を引き起こし死に至る例もある。今回の症例ではかなりの努力呼吸があったため呼吸性アルカローシスに加え呼吸筋の疲労もあって無呼吸発作に至ったと考えられる。過換気症候群が疑わしい場合は以上のことを念頭に診察を行う必要がある。【結語】過呼吸で無呼吸発作を繰り返しICUでの管理を必要とした一例を経験した。