[P-044] COVID-19罹患後症状の3症例〜後遺症問診票の活用
【背景】COVID-19罹患後症状(COVID-19後遺症)に対し漢方治療の報告が散見される。当科では漢方専門医ではない医師でも診療サポートとなるような後遺症質問票を独自に作成し、同症の病態評価と治療に活用している。【症例1】50代女性。左重複腎盂尿管による慢性腎不全のため人工透析中。Y-6月COVID-19に罹患。ICUにて人工呼吸器管理となった。入院中から倦怠感、息切れ、痺れ、脱毛、爪の異常、記憶の異常を自覚、退院後一日の大半を臥床にて過ごした。A病院からY月に当院紹介受診。血液生化学検査で貧血、腎機能障害、低亜鉛血症を認めた。胸部CT・呼吸機能検査では有意な異常を認めず。ウィルス後疲労症候群・ICU症候群と診断した。後遺症質問票では気虚と血虚が疑われた。ポラプレジンクと人参養栄湯エキスを開始した。脱毛・爪の異常、倦怠感が徐々に改善した。【症例2】40代女性。Y-1月、COVID-19に罹患し自宅療養。4日後解熱し翌日から在宅勤務で仕事を再開したが複雑な作業がこなせなかった。その後も倦怠感・下痢を自覚し仕事に支障をきたした。B院からY月に当院紹介受診。血液生化学検査、胸部X線、頭部MR Iで有意な異常を認めず。ウィルス後疲労症候群と診断し、後遺症質問票で気虚が疑われ、補中益気湯を処方。Y+1月、徐々に症状が軽減した。【症例3】70代女性。Y-1月にCOVID-19に罹患。自宅療養後、倦怠感と嘔気のため仕事に復帰できず。血液生化学検査、胸部X線で異常を認めず。後遺症質問票で横になりたいほどのだるさと冷えから少陰病を疑った。真武湯を処方、症状は徐々に軽減した。【考察】COVID-19罹患後症状で特に倦怠感を主症状とするウィルス後疲労症候群に対して、適切な漢方医学的評価をすることはCOVID-19罹患後症状を診療する上で有用と考えられる。【結語】漢方専門医でなくても後遺症質問票を用いることにより、COVID-19罹患後症状に対して適切な漢方薬処方を行う事が出来る。