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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-046] 各科との連携によって診断に至った好中球性皮膚症:Sweet症候群の一例


【背景】Sweet症候群は発熱, 有痛性紅斑, 好中球数上昇を主徴とする疾患で, 皮膚外症状も複数認知されており不明熱の原因となり得る.【症例】31歳女性【主訴】発熱【病歴】特に既往なし. 第1病日より39度台の発熱が出現し, 第5病日に近医を受診した. 腎盂腎炎として経口抗菌薬が開始となったが解熱せず, 第12病日に総合診療科を紹介受診した. 随伴症状として頭痛と腹痛を伴った.【初診時所見】前房蓄膿なし, 頸部リンパ節腫脹なし, 腹部平坦軟で臍部〜右側腹部に圧痛あり, 皮疹なし, 関節痛なし, 陰部潰瘍なし.【経過】第19病日より入院精査を開始し, 第20病日には疼痛のない淡い紅斑を四肢体幹に認め高熱時に目立った. 第27病日に両膝関節炎が出現した. 入院経過中に白血球減少, 正球性貧血, 肝胆道系酵素上昇, LDH上昇, フェリチン上昇があった. CTでは肝脾腫, PET-CTでは脊柱〜骨盤にびまん性の集積を認めた. 成人Still病, 血液悪性腫瘍, Bechet病を鑑別とし, 外来で精査する方針とした. 第29病日に右前腕皮膚潰瘍, 両下腿に有痛性紅斑が出現した. 皮膚生検, 骨髄生検を実施し, 皮膚生検で真皮〜皮下脂肪織への好中球浸潤を認めた. HLAタイピングではB54, A26が陽性となり, 好中球性皮膚症:古典型Sweet症候群疑いと診断してステロイド内服を開始し著効した. 患者と家族の不安が強く, 血液検査を含めた検査に対する抵抗が強くあったため診療に難渋した.【考察】Sweet症候群は皮膚外症状として他疾患との鑑別を要する様々な症状を呈する. 本例は, 関節炎・肝脾腫などの皮膚外症状, 好中球数上昇を認めなかったこと, 定型疹の出現までに時間を要したこと, 検査への協力が得にくいことから診療に難渋したが, 専門各科と連携し患者家族へ十分に説明を行い理解を得ることで診断に至った.【結語】診断に苦慮した好中球性皮膚症:Sweet症候群疑いの1例を経験した.

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