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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-050] 抗糸球体基底膜抗体型糸球体腎炎による急速進行性糸球体腎炎の一例


【背景】急速進行性糸球体腎炎(RPGN)は数週間から数ヶ月の経過で、急速に、そして時に潜在的に進行し、末期腎不全まで進行する病態であり、適切に認識し、早期に腎臓内科医に相談することが重要である。【症例】73歳女性【主訴】発熱、倦怠感【病歴】糖尿病の既往がある。来院3ヶ月前の近医でのクレアチニンは0.65mg/dlであった。来院の1週間前から38℃台の発熱と倦怠感を自覚し、来院3日前に近医を受診したところ、血液検査でCRP13mg/dlとクレアチニンが5.03mg/dlと著明に上昇していたが尿量は保たれていた。処方されたクラリスロマイシンを内服するも、症状の改善がなかったため、当科に紹介となった。【所見】<身体所見>皮疹なし、両側下腿に軽度の圧痕性浮腫を認める <血液検査>Cre 7.55mg/dl、CRP 19.38mg/dl <尿検査>混濁+、蛋白100㎎/dl、潜血3+、RBC50-99/HPF、WBC5-9/HPF、細菌(+)<胸腹部単純CT>胸部:異常所見なし、腹部:水腎症なし、両側で軽度腫大【経過】来院時点では、急性腎盂腎炎と、それに伴う急性腎障害も考慮し、セフトリアキソンと十分な輸液で経過を見る方針としたが、入院後は無尿の状態が続いていた。血尿、蛋白尿の所見や急速な腎機能の悪化から、急速進行性糸球体腎炎が考えられ、入院2日目に腎臓内科に相談し、各種抗体を提出し、入院3日目に血液透析を開始した。入院5日目に抗糸球体基底膜(GBM)抗体が1070U/mlと高値であることが判明し、抗GBM抗体型糸球体腎炎が考えられた。ステロイド、血漿交換による治療を行うも、透析を離脱することはできず、ステロイドを漸減しながら、維持透析を行う方針となった。【考察】本症例では腎臓以外の障害された臓器や、局所的な症状がなく、急性腎盂腎炎との鑑別を要する状況であった。病歴で尿量が保たれていた事も初期診断を難しくした一因である。RPGNとして素早く腎臓内科に相談するために尿検査の解釈や体液量評価に精通する必要があると考えられた。【結語】抗GBM抗体型糸球体腎炎によるRPGNの1例を経験した。

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