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2月18日 (土)

プログラム

抄録





[P-067] 診断に苦慮した、DICに進展していた日本紅斑熱患者


【症例】70歳男性
【主訴】発熱、皮疹、DIC
【現病歴】X-15日から4日間、実家で庭木作業をした。X-7日より体調不良を自覚。X-6日から発熱が出現。X-5日に呼吸苦、発疹がでて、近医医療センターへ救急搬送され、対症療法で帰宅した。X-3日に同症状で近医総合診療クリニックに受診し、CTRX投与を2日間行った。胸腹部CTで特記所見に乏しく、全身状態不良との事で、X-2日に当院内科に紹介された。肝腎障害もあり、MEPM投与で入院加療を開始。以後、CT、UCG等の精査を行うが、熱源不明であった。全身紅斑もあり、皮膚科コンサルトされ、敗血症による中毒疹が考慮された。DICも疑われ当科にコンサルトされたた。
【既往歴】なし【生活歴】ペットなし、動物接触歴なし、山・川・温泉への移動はないが、実家は南房総の野山の多い地域、内服やサプリメントの使用歴なし、仕事は電気業
【身体所見】JCS0、BT38℃、HR96/分、RR24/分、BP127/87mmHg、SpO2 96%、頭痛あり、咽頭痛あり、全身関節痛・筋痛があり座位保持も困難、全身に米粒大の紅斑が多数散在している、左足関節部分に1㎝弱の紫斑あり
【検査結果】WBC 8500/μL、Plt3.8万/μL、AST255U/L、ALT104U/L、BUN29.2mg/dL、Cre1.27mg/dL、CRP19.95mg/dL、PT-INR0.95
【経過】病歴経過や皮疹、急激な肝障害、血小板減少からリケッチア感染を強く疑わせた。至急で保健所連絡を行い、日本紅斑熱のPCR検査を依頼し、MINOの投与に切替えた。血液および、足関節の紫斑を採取し、保健所提出をした。X+3日にはPlt7.1万/μL、CRP4.63mg/dlまで回復し、全身状態も劇的に改善した。X+5日にPCRで血液、皮膚いずれからも日本紅斑熱と判明した。MINO投与継続し、肝腎障害やPltは正常化してX+13日に退院した。
【考察】手掌や体幹を主体とした多数の紅斑が散在しており、一見中毒疹様であったが、経過からもリケッチア感染を念頭におく病態が考慮された。画像検査のみならず、経過問診が肝要であった。また、痂疲は脱落して紫斑様の所見のみが残存していた症例である。

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