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2月18日 (土)

プログラム

抄録





総合病院のリウマチ科は院内の診療科からどんな相談を受けるかー併診依頼の分析


はじめに:当院は東京都西部の南多摩医療圏に属する許可病床数 610床の総合病院で,3次救命救急センターを含む33診療科を有する。リウマチ性疾患治療センター(リウマチ科)は2011年に開設され,現在は常勤医2人,非常勤1人でリウマチ膠原病疾患の外来・入院診療を担当している。院内の診療科から診療を依頼された(併診)患者の臨床情報を解析し,専門診療科間の連携について検討する。
対象と方法: 2020年1月~2022年10月の34カ月間にリウマチ科が併診を受けた患者の性別,年齢,併診依頼元,依頼内容(症状や所見,依頼の目的)を電子カルテの対診依頼票から収集した。
結果:27診療科から334人(女207人,男127人),354件の併診があった。併診時の平均年齢は63歳(標準偏差13.8)。依頼元は耳鼻咽喉科44件(12%),整形外科40件(11%),皮膚科40件(11%),総合診療科(総合内科)32件(9%),循環器内科29件(8%),腎臓内科22件((6%),消化器内科19件(5%),眼科15件(4%)の順に多く,この8科で全体の3分の2を占めた。内科の臓器別診療科(循環器,腎臓,消化器,内分泌代謝,脳神経,呼吸器,血液,高齢,感染症)からの併診は合計115件(32%)であった。相談内容は診療科により特徴があり,耳鼻咽喉科はIgG4関連疾患の治療依頼が最も多く,整形外科は多関節痛の診断と治療依頼,皮膚科は抗核抗体を初めとする自己抗体陽性患者の診断の依頼が多かった。総合診療科から依頼された32件のうち24件の主症状は筋・関節の疼痛で,関節リウマチまたはリウマチ性多発筋痛症の診断または疑いが24件中15件であった。
考察:リウマチ科は自己免疫性の全身性炎症性疾患の診療を担当する診療科で,各科から筋・関節痛を訴える患者のコンサルトを受けることが多い。IgG4関連疾患やサルコイドーシス,シェーグレン症候群などを耳鼻咽喉科や眼科,口腔外科と一緒に診療することは総合病院におけるリウマチ科の役割の1つと考えている。臓器別に細分化された診療科の医師は,自分の専門分野でない症状や疾患については「診ない」ことが多いが,「関節が痛いからリウマチ科」「抗核抗体が陽性だからリウマチ科」ではなく,一度は総合的に診察して診断を考えてから,対診依頼を作成してほしい。



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