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2月19日 (日)

プログラム

抄録





Incidental Diagnosisの振り返り方~ラッキー診断を研修医教育に活かそう~


偶然に診断できて「ラッキーだったなぁ」と思った経験はありませんか。それは本当にただのラッキーなのでしょうか。
Incidental diagnosis という言葉があり、「他の医学的問題を評価しているときに、意図せず診断されること」と定義されます。そういったIncidental diagnosisは、
①実は適切な診断推論の過程を経れば診断できていたもの
②本当に偶然見つかったもの
の 2 つに分類できます。また、Incidental diagnosisの全てが良い転機をたどるとは限らず、知らなくてもよい疾患を知ってしまったがために、余計な不安を抱えてしまったり、余計な検査・治療がなされる人もいるかもしれません。“Incidental diagnosisかつ良い転機をたどったもの”をラッキー診断とここでは定義します。
 近年、診断エラーを振り返ることでエラーの防止につなげる活動は盛んに行われるようになってきましたが、幸運にも診断エラーを防ぐことができたラッキー診断は適切に振り返ることはあまりされずに偶然の産物として放置される傾向にあるのではないでしょうか。
 また、ある医師にとってはラッキー診断であっても、別の医師からすれば当たり前に診断できる、と言ったことがありえるのです。特に、知識や経験の浅い研修医は、たまたま行った検査で偶然に診断できてしまったり、ベテラン看護師の助言に従ったおかげで診断できた等、ラッキー診断に遭遇することは少なくないと思います。このようなラッキー診断をそのままにせず、次に活かせるような振り返りは、臨床推論力を鍛える上で非常に重要です。
 本ワークショップでは、研修医のラッキ−診断をラッキーのままで終わらせずに適切に振り返る方法と、それを研修医教育に活かす方法を提案します。今後の日常診療や研修医教育に役立てて頂けるものになると確信しています。

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