[O-026] 高血圧患者における血清尿酸/クレアチニン比は全死亡率の有用な予測因子である
【目的】既存研究の多くは、血清尿酸値が腎疾患進行の予測因子であることを示している。さらに最近では、成人における腎機能補正血清尿酸値と全死因死亡率(以下死亡率)との関連が示唆されている。本研究では、高血圧患者に焦点を当て、血清尿酸/クレアチニン比(SUA/Cr)と死亡率との関連を検討した。
【方法】 対象は、2002年(コホート1)および2014年(コホート2)の野村研究に同意を得て参加した男性916名(67±11歳)、女性1,101名(69±9歳)の2,017名である。住民基本台帳から死亡の調整済み相対リスク推定値を求めた(追跡率:2002年94.8%、2014年98.0%)。さらに、Cox比例ハザードモデルを用いて可能性のある交絡因子で調整し、ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を決定した。
【結果】全参加者のうち、639名(31.7%)が死亡し、そのうち327名が男性(35.7%)、312名が女性(28.3%)であった。女性では、SUA/Crが高いほど死亡率が高いという関連がみられた(HR:1.10; 95% CI:1.02-1.18 )。ベースラインSUA/Crの五分位における死亡率の多変量調整HR(95%CI)は、男性では1.28(0.91-1.80)、1.00、1.38(0.95-1.98)、1.37(0.94-2.00)、1.57 (1.03-2.40) 、女性では0.92(0.64-1.33)、1.00、1.04(0.72-1.50)、1.56(1.06-2.30)、および1.59(1.06-2.38)であった。さらに、年齢(65歳未満または65歳以上)、肥満度(22.0kg/m2未満または22.0kg/m2以上)、推定糸球体濾過量(60mL/min/1.73m2未満または60mL/min/1.73m2以上)、SUA低下薬の有無に基づいてデータを層別化しても、すべてのグループで同様の傾向がみられた。
【結論】高血圧患者におけるベースライン時SUA/Crは、将来の死亡率と独立かつ有意に関連していた。