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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[O-027] 動脈硬化性心血管疾患のリスク予測因子としてのsmall dense LDLコレステロールの有用性


背景:アメリカで用いられる動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク予測モデルに、血液検査項目は総コレステロールとHDLコレステロールが含まれているが、治療ターゲットとしてはLDLコレステロールが用いられる。近年、LDLコレステロールの亜分画である小型で比重の大きいsmall dense LDLコレステロールが、より動脈硬化惹起性が高いと考えられている。
方法:本研究では米国内の3つのコホート研究、Atherosclerosis Risk in Communities Study(ARIC)、Framingham Offspring Study(FOS)とMulti-Ethnic Study of Atherosclerosis(MESA)を統合解析し、small dense LDL コレステロールのASCVDリスク予測因子としての有用性を検討した。ベースライン時にASCVDのない15933名(年齢中央値 62歳、女性 56.7%、アフリカ系アメリカ人 19.7%)を解析対象とし、10年間の追跡期間の初回のASCVDの発症を主要アウトカムとして解析した。血清学的マーカーとして、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、small dense LDL コレステロールを測定した。解析手法は単変量・多変量回帰分析とCox比例ハザードモデルを用いた。
結果:観察期間中に1548名(9.7%)がASCVDを発症した。Small dense LDLコレステロールは、性別、年齢、人種、総コレステロール、HDLコレステロール、高血圧症・糖尿病・降圧薬服薬・喫煙習慣の有無が含まれるASCVDリスク発症予測モデルを改善した(多変量調整ハザード比 1.15、P < 0.01)。Small dense LDLコレステロールを3群(25mg/dl未満、25mg/dl以上50mg/dl未満、50mg/dl以上)に分けたところ、性別、人種(アフリカ系米国人、非アフリカ系米国人)に関わらず、small dense LDLコレステロールが高値になるほどASCVD発症のリスクが高かった。
結語:Small dense LDLコレステロールは重要なASCVDリスク因子であり、性別・人種に関わらず治療ターゲットとなりうることが示唆された。

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