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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-080] 橈骨神経麻痺の診断に自動不全、他動不全の理解は重要である


【背景・目的】橈骨神経麻痺の症状は下垂手が一般的に知られている。しかし橈骨神経麻痺患者の多くは、「手に力が入らない」など手の脱力を訴えて来院する。一見手指全体の麻痺にみえ、腕神経叢、頚椎神経根、頸髄、脳病変へと鑑別診断を迫られ、頚椎MRI、頭部MRIの画像検査が施行される傾向がある。早期の症状より橈骨神経麻痺患者を確信持って診断するには詳しい病歴、筋骨格系の身体診察が重要となる。身体診察の中で、自動不全、他動不全の概念の理解があると診断確率が上がり、それだけで診断ができると確信している。
【方法】他動不全とは何か、自動不全とは何か、を知ることが重要な鍵となる。橈骨神経麻痺の患者の手関節・指関節運動を臨床運動学的に分析する。【結果】橈骨神経麻痺患者の「手に力が入らない」いう訴えの背景にある他動不全、自動不全の概念を知り、救急室や総合診療外来で身体診察に利用することで、橈骨神経麻痺患者の多くの症例に確信を持ち診療できるようになった。【考察】他動不全、自動不全という身体現象は、人間の身体の中で色々な形で現れる。拘縮という形の関節可動域が制限される中に、筋腱短縮と過度の筋腱伸長による他動不全があり、筋腱の緩みで起こる自動不全がある。そのことを理解し日常の診療に活用すれば確保たる身体診療の技能取得と早期診断の武器となり得る。【結語】筋腱短縮と過度の筋腱伸長による他動不全、筋腱の自動不全の身体症状理解は、診断における事前確率を挙げ、身体診察だけで診断できるという高品質の医療を提供できる。

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