[P-083] 高感度画像(関節US/MRI)検査にてリウマチ性疾患を診断し得た不明熱の1例
【背景】高感度画像検査はリウマチ性疾患の鑑別において有用である。今回、発熱、無痛性関節腫脹があり高感度画像検査により診断し得た関節リウマチおよび結晶性関節炎の1例を報告する。【症例】82歳、女性。【主訴】発熱。【病歴】自宅で転倒し同日に当院救急搬送。発熱やCRP高値(26.3mg/dl)があり精査・加療目的で入院となった。入院時よりCTRX開始するも改善なく、手関節USにて活動性滑膜炎やdouble contour signから結晶性関節炎と診断し第5病日からNSAIDs内服を開始したが改善乏しかった。【身体所見】体温38.1℃、血圧150/74mmHg、脈拍99/min。両手・膝関節に無痛性腫脹あり。【検査所見】WBC5200/μl、CRP26.3mg/dl、RF6IU/ml、抗CCP抗体0.5U/ml、MMP 1095.4ng/ml【経過】両手指関節造影MRI検査にて両手関節の活動性滑膜増強効果や多数の骨びらん・骨髄浮腫を認め、関節リウマチと診断した。第16病日よりベタメタゾン0.5mg、第19病日よりトシリズマブ280mg点滴静注での寛解導入により解熱しCRPは著明に改善した。薬物療法やリハビリ継続によりADLも著明に改善し、第54病日に自宅退院となった。【考察】不明熱を罹患した高齢者は自覚症状の訴えが乏しく、診断・鑑別に苦慮する場合が多い。診断の遅れが、著明なADLの低下を招く。本症例は、関節の腫脹を伴っていたが、Xpでは特徴的な所見がなく血清学的にも陰性で、診断困難であった。高感度画像(US/MRI)検査は早期の病変も描出可能であり、リウマチ性疾患の診断・鑑別には大変有用である。【結語】不明熱の鑑別疾患の精査において高感度画像検査の有用性が示唆された。