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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-084] Clinical Pictureを活用した医学英語論文執筆教育システムの開発の試み


【背景】医師の臨床教育は臨床研修制度等により確保されているものの、科学論文を執筆するための系統的な教育システムは充分に確立されていない。特に若手医師の医学英語論文執筆教育の機会は所属施設により大きく異なり、多くは個人の学習努力に依存する。
【目的】Clinical Picture論文(1~4枚の臨床画像と150~500words程度の文章で構成)を英語で執筆する作業を通して、若手医師が医学的知見を報告する方法や文章の論理構成を含むメディカルライティングの基礎を習得するための教育システムの開発を目指す。
【方法】若手医師が経験した症例に関するClinical Picture論文の執筆指導を行う。執筆に取り組む前に分からなかった事や不安に感じていた事を聴取し、指導項目として体系化する。
【結果】2020年12月~2022年10月の期間で、医学英語論文の執筆経験がない若手医師5名(初期研修医2名、専門研修医2名、大学院生1名)に対してSide by sideで論文執筆技法(タイトルページや本文の書き方、文献の引用方法、画像ファイルの作成方法、カバーレターの作成方法)とオンライン投稿法の指導を行った。Clinical Picture論文の執筆技法を習得した医師に対しては、応用編としてLiterature Review論文や原著論文を執筆させた。計22編の医学英語論文(Clinical Picture論文:17編、Literature Review論文:4編、原著論文:1編)が学術誌に受理された。指導項目のチェックリストを作成した。
【考察】論文執筆経験のない医師は、Clinical Picture論文の執筆から開始すると、ハードルが低く取り組みやすい。教育を行う上で最も大切なことは、小さな成功体験を積み重ね、自信をつけさせることであるからだ。今後は指導対象医師数を増やし、体系化した教育システムの有効性についてルーブリックを用いた点数化により評価し、逐次改良して教育システムの確立を目指したい。
【結語】論文執筆経験のない医師に対して、Clinical Pictureを活用した論文執筆教育は有効かもしれない。
【謝辞】本研究は医学教育振興財団の医学教育研究助成を受けて実施した。

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