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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-081] カルバペネム耐性腸内細菌を起因菌とし, 経皮経肝胆嚢吸引穿刺を要した急性胆嚢炎の1例


【背景】カルバペネム耐性腸内細菌(Carbapenem-Resistant Enterobacteriaceae:以下,CRE)は2014年に感染症法5類に指定され,複数の耐性因子を併せ持ち他の系統の抗菌薬も同時に耐性化する為,重症化し治療に難渋する事が多い.今回CREを起因菌とし,抗菌薬治療に抵抗性で経皮経肝胆嚢吸引穿刺により改善した急性胆嚢炎の1例を経験した.【症例】91歳,女性【主訴】右季肋部痛【病歴】就寝中に突然の右季肋部痛を自覚し,当院へ救急搬送となった.近医で高血圧の治療中であった.【所見】体温36.9℃,血圧170/116mmHg,脈拍数98/分,呼吸数18/分,酸素飽和度97%(室内気). 腹部:平坦•やや硬,右季肋部を最強点とする圧痛を認めた.血液生化学検査:WBC5900/μL,CRP5.3mg/dLと上昇していた.胆道系酵素は正常であった.腹部超音波検査:胆嚢壁は浮腫状に肥厚し,内部に結石を認めた.腹部造影CT検査:胆嚢の腫大および胆嚢周囲の腹水,胆嚢内の結石を認めた.胆嚢壁の造影効果は保たれていた.【経過】急性胆嚢炎の診断で入院とし,Tazobactam/Piperacillinにて抗菌薬治療を開始した.第2病日に38.6℃の発熱を認め,WBC18600/μL,CRP27.1mg/dLと増悪した為,第3病日に経皮経肝胆嚢吸引穿刺を施行した.第4病日に炎症反応の改善を認め,経口摂取を再開後も再燃なく経過した.入院時の血液培養及び吸引した胆汁培養よりCREが検出された.【考察】細菌感染を伴う急性胆嚢炎では,ESBL産生菌等の多剤耐性菌がしばしば胆汁中から検出され,半数以上が多剤耐性菌であったとする報告もあり保存的治療では注意が必要である.多剤耐性菌の中でもCRE検出症例は本邦でほぼ報告がなく,医学中央雑誌で【胆嚢炎】,【カルバペネム耐性菌】をキーワードに検索して詳細確認可能なものは1例のみであった.本症例のように抗菌薬治療抵抗性の症例では,CRE等の多剤耐性菌の存在を想定し,早期に胆嚢摘出術や経皮経肝胆嚢吸引穿刺/ドレナージの検討を要すると考える.【結語】CREを起因菌とし,抗菌薬治療に抵抗性の急性胆嚢炎の1例を経験した.本症では経皮経肝胆嚢吸引穿刺が有効であった.





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