[P-094] 高齢男性PBCに発症した肝細胞癌の1例
【症例】75歳,男性.【主訴】特になし.【病歴】X-6年,健診での肝障害精査目的にて紹介となった.【所見】AST74,ALT89,γ-GTP368,ALP497(U/L),IgM529(mg/dl),抗ミトコンドリア抗体(M2)295.【病理組織学的所見】原発性胆汁性胆管炎(PBC;Nakanuma’s score A-2 B-0 C-1 stage2,CA-1 HA-2).【経過】PBCの診断にてウルソデオキシコール酸が開始され,速やかに肝胆道系酵素は低下した.以後6年間病態は安定していたが,X年AFPが13.7(L3分画11.3%)と増加したため施行した腹部造影CTにて肝S7/8に径20mmの造影早期で濃染し門脈相・平衡相でwash outする腫瘍を認めた.EOB-MRIの肝細胞相では造影欠損を示しており肝細胞癌と診断した.また肝S5にも造影早期で濃染を示す径5mmの結節を認めた.肝右葉切除が施行され,病理組織学的には径11×8mmの中~高分化型,径6×5mmの中分化型肝細胞癌であった.非癌部の組織学的所見はF1であった.【考察】PBC診断後10年での累積発癌率は2.5%(男性6.5%,女性2.0%)とされる.発癌危険因子として高齢,男性,病期進展などが示唆されている.本症例は非癌部の肝線維化F1という非進展例であり、危険因子を有するPBCでは長期に渡り肝酵素が正常で推移する非進展例でも、発癌を念頭においた丁寧なサーベイランスを継続する必要がある.【結語】高齢男性PBC患者のに発症した肝細胞癌の症例を経験した。