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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-095] 人工知能による病院内転倒の検知プログラム研究:赤外線カメラ位置による検討


目的
入院中にベッドから転落する有害事象は、必要のない外傷や患者拘束を余儀なくされる可能性が高く医療管理上かつ患者の精神・身体上における大きな問題点であり、よりターゲットを絞ったアプローチの必要性が強調されている。我々は、これまで認識されていなかった転倒行為を特定するための人工知能(AI)アルゴリズム誘導型転倒検出アプローチの有効性を評価するための実用的な研究を行った。先行研究にて昼夜双方における健常ボランティアによる転倒シミュレーション実験を行い、検出能力の改善により得られた値の判定を行った。
方法
研究は庄内余目病院病棟内で実施した。医師、看護師、医療安全スタッフ等による健常成人ボランティアによりベッド転落事象を再現。転倒パターンを想定される7種類に分類し、日中及び夜間にて可視光、暗視状況下で作動可能な赤外線搭載カメラにて撮影、コントロール群は目視での観察とした。一致度はカッパ係数を用い、先行研究でのカメラ位置での正確度と比較検討した。【結果】
2021年10月の日中および夜間のカッパ係数は0.294と0.399であった。2022年6月のカメラ位置変更後の日中および夜間のカッパ係数は0.319と0.294であった。結果は0.21-0.40:Fair(ある程度の一致)にとどまった。カメラ位置の変更による改善率は日中0.025、夜間-0.105であり改善は認められなかった。
【考察】
今回、カメラ位置を変更して一致度の改善があるかを確認したが、明らかな改善は認められなかった。目視では座位や臥位の人物解析は明瞭にできるようになってきている。また、座位の転倒との誤認はより多く認められていた。AIによる座位の認識を含めた病院専用AIプログラムの作成により改善されると想定した。
【結論】
AI解析プログラムの転倒検出は実際の病棟で実用可能と考えた。実際の病棟での転倒検出ソフトウエア開発において必要な検出感度を改善し、今後前向き研究を行う予定である。

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