[P-097] るい痩の精査により診断に至った血管内リンパ腫の一例
【症例】70歳、女性【主訴】るい痩【現病歴】2022年7月初旬、ご本人の妹が訪ねた際に痩せているのに気が付いた。るい痩と両下肢の浮腫を主訴に前医受診し、顕著な貧血と低アルブミン血症を認め、精査目的にて8月初旬紹介となった【現症】体重30.5kg、身長149.3cm、血圧106/60mmHg、脈拍 93回/分、呼吸数 18回/分、動脈血酸素飽和度 97%、意識清明。眼瞼結膜貧血様、黄疸なし。胸腹部に異常所見なし。両側下腿部に軽度の浮腫を認めた。採血検査では小球性低色素性貧血、血小板減少を認め、LDH 484U/ml、低アルブミン・低ナトリウム血症、高γグロブリン血症等を検出した。可溶性インターロイキン2値は2590U/mlであった。胸腹CT検査では脾腫を認めるも、リンパ節腫脹は認めず。骨髄穿刺検査ではマクロファージの活性化および低頻度で血球貪食像を認め、ランダム皮膚生検施行したところ、右上肢および右下肢から採取した検体より、血管内リンパ腫の診断を得た【診断】CD20陽性血管内大細胞性B細胞リンパ腫(Intra vascular large B-cell lymphoma: IVL)【経過】細菌性尿路感染症併発していたため、抗生剤および補液による治療を開始。同症に対し、R-CHOP療法を開始するも、リツキシマブの副反応あり、CHOP療法を継続することとした。現在3回におよぶ同治療を施行し体重は35kgへ回復している【考察】この度我々は、独居高齢女性に発症した血管内リンパ腫の一例を経験した。入院後の観察にて、摂食状態は維持されていたが、治療開始前にあっては体重減少に改善はみられず、化学療法を継続していく経過にあって体重および栄養状態の改善に至っている。本疾患診断に向けた疾患想定の契機となったのは、低栄養、血算異常、脾腫、可溶性インターロイキン2高値などの陽性所見と全身性にリンパ節腫脹がない、といった陰性所見であった。