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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-100] West症候群に対するACTH療法中に降圧管理を要した滑脳症の乳児例


【背景】滑脳症の多くは難治性てんかんのWest症候群を続発し、ACTH療法を要することがある。ACTH療法中に降圧管理を要した症例を報告する。
【症例】月齢5の男児
【主訴】痙攣
【病歴】在胎39週、出生体重2484 gで出生した。一過性多呼吸のためNICUに入院し、画像検査で滑脳症と診断された。退院後、月齢3で痙攣発作が始まり、以降も頻回に発作を認め入院した。
【所見】身長67.0 cm、体重7.0 kg、血圧94/52 mmHg。定頸なし、あやし笑いなし、追視なし、体幹の筋緊張低下あり、四肢はシリーズ形成の痙攣あり。脳波検査ではhypsarrhythmiaを認め、遺伝子検査では滑脳症の原因であるLIS1にde novo ミスセンス変異を認めた(c.485G>A)。
【経過】入院3日目、West症候群に対し、ACTH(0.0125 mg/kg/日)の筋注およびビタミンB6療法を開始した。入院13日目、心電図および心臓超音波検査で両心室肥大あり、入院30日目には高血圧(138/100 mmHg)を認めた。頭部CTで器質的病変は無く、ニフェジピンを頓服で投与した。ACTHは2週間ごと連日、隔日、週2回、週1回と漸減し、痙攣発作は改善した。入院31日目からニカルジピンの静脈内持続投与を開始し、0.5~1 µg/kg/分で投与後、高血圧と両心室肥大所見も改善した。入院34日目にACTH療法を中止し、入院39日目、アムロジピン経口投与に切り替え、8日間で終了した。痙攣発作の再発はなく、脳波所見は正常化し、入院59日目に退院した。
【考察】Gilboaらによると、ACTH療法中に58.5%の乳児が高血圧を呈し、他の年齢の小児よりもその傾向が顕著であると報告されている。本症例の血圧は99%タイルの110/64 mmHgを超えるStageⅡ以上の重症高血圧に分類され、早期介入を要するACTH療法の副作用と考えられた。
【結語】乳児に対するACTH療法は高血圧が高率に出現し、早期介入や厳重な降圧管理を要することがある。

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