HOME

2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-112] めまい及び短期記憶障害にて右側海馬梗塞と診断した一例 


【症例】海馬梗塞は脳血管障害の中でも頻度が少なく、発症様式については一過性全健忘の中に海馬梗塞が認めることが報告されている。今回我々はめまい、短期記憶障害にて右側海馬梗塞と診断した一例を経験したので報告する。【症例】67歳、男性【主訴】回転性めまい、短期記憶障害 【現病歴】既存歴として高血圧、慢性心房細動、陳旧性脳梗塞(左後頭葉)あり、来院2週間前より降圧剤を内服していなかった。一ヶ月前から奥さんの言ったことをすぐに忘れることが出るようになっていた。来院当日の朝、めまいと嘔気があり。めまいが改善せず立位困難となりER受診となった。【経過】来院時血圧は195/144mmHg、心拍数98回・不整。神経学的所見では、眼振、眼球運動障害なく、小脳症状、上下肢脱力も認めなかった。高血圧の血管リスクがあり、一ヶ月前からの短期記憶障害があることから脳血管障害などの頭蓋内病変が鑑別に挙がったため頭部MRIを施行した。拡散強調画像で高信号、ADCmap低信号、フレアでやや高信号であり、右海馬の急性期脳梗塞像と判断した。慢性心房細動があることから心源性脳塞栓症と判断し、DOACを開始した。心臓超音波検査では、血栓および卵円孔開存は認められなかった。【考察】急性発症の記憶障害の原因として、脳血管障害、脳腫瘍、外傷、てんかんなどが考慮される。また一過性記憶障害を呈する症例の中に海馬梗塞があることが報告されている。本症例は、めまいを主訴に来院し、身体所見から末梢性を疑い、改めて病歴を聞き直すと一ヶ月前からの短期記憶障害を認めていることがわかり、急性発症の記憶障害の鑑別の一つとして頭蓋内病変検索することで診断に至った。急性発症の認知症症状を来した場合には脳血管障害を鑑別し、その原因に海馬梗塞を考慮することが重要である。【結語】急性発症のめまいで受診し、短期記憶障害の病歴を再聴取することで右側海馬梗塞と診断に至った一例を経験した。 

戻る