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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-123] COVID-19ワクチン接種後にsubcutaneous panniculitis-like T-cell lymphomaを発症した1例


【症例】45歳男性
【主訴】発熱
【病歴】生来健康。3回目のCOVID-19のワクチン接種(mRNA-1273;Moderna社、過去2回はBNT162b2;Pfizer社)の3日後から38℃を超える発熱、倦怠感をきたした。その後ワクチンの副反応として対症療法を継続していたが改善を認めず、他院を受診した。血液検査や画像検査など各種不明熱精査を行うも原因不明であり、当院に精査目的で受診した。
【所見】意識清明、BT38.8℃、HR111回/分 BP148/72mmHg、RR21回/分、SpO2 98%(RA)
身体所見では、臍周囲部に、有痛性かつ熱感を伴う結節性紅斑を認めた。その他は特記すべき所見なし。血液検査:WBC:3,100 /μL 、Hb:10.6 g/dL フェリチン:8,696 ng/mL、LDH:1,127 U/L,sIL-2受容体:2,790 U/mL
【経過】入院後第2病日に臍周囲の結節性紅斑の生検を行った。病理結果で、subcutaneous panniculitis-like T-cell lymphomaとそれに伴う血球貪食症候群の診断を得た。入院第16病日に、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾンによる加療を開始し、現在6コース目を終了し、今後は自家末梢血幹細胞移植を予定している。治療後は全身状態良好で臍周囲の結節性紅斑も消失した。
【考察】subcutaneous panniculitis-like T-cell lymphomaはT細胞リンパ腫のうち0.9%と極めて稀な症例であり、血球貪食症候群の合併例の予後は悪いと報告されている。早期診断には皮膚生検が有用である。現在までmRNA-1273接種後に悪性リンパ腫をきたした報告はない。本症例ではMIS-A (multisystem inflammatory syndrome in adults)という、ワクチン接種後に原因不明の発熱・炎症反応高値をきたす病態が関与している可能性が示唆される。COVID-19は今後も流行し続ける可能性が高く、最大の予防法はワクチンであることから、ワクチン関連の副反応につき我々総合診療医は知見を深めておく必要がある。
【結語】COVID-19ワクチン接種後に発症したsubcutaneous panniculitis-like T-cell lymphomaの1例を経験した。今後のワクチン関連の副反応への注意喚起として本症例を報告する。








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