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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-120] COVID-19罹患後に全身倦怠感を認め二次性副腎皮質機能低下症と診断した1例


【背景】COVID-19罹患患者は長期的な症状をしばしば有する.稀ながら副腎皮質機能低下症を併発することがある.【症例】慢性閉塞性肺疾患を有する66歳男性.【主訴】全身倦怠感.【病歴】来院1ヶ月前にCOVID-19中等症と診断され,5日間,レムデシビル,デキサメタゾンによる治療を受けた.退院後,全身倦怠感があり,悪心,嘔吐や頭痛が出現し,持続するため当院を受診した.血液検査でACTH,コルチゾールが感度以下であり,二次性副腎皮質機能低下症の疑いで精査加療目的に入院した.【所見】コルチゾール蓄尿,迅速ACTH負荷試験,CRH負荷試験, TRH負荷試験,LHRH負荷試験,GHRP2負荷試験を行い,二次性副腎皮質機能低下症,並びに二次性性腺機能低下症と診断した.下垂体造影MRIでは異常を認めなかった.【経過】ヒドロコルチゾン50mg 8時間ごとの点滴投与の後,ヒドロコルチゾン内服に切り替え,症状は徐々に軽快した.現在,外来で継続治療中である.【考察】COVID-19罹患患者は,70%以上が何らかの長期的な症状を有し,倦怠感・疲労感を訴える患者は40%程度と報告されている.SARS-CoV-2はACE2 受容体を介して気道感染を起こすが,視床下部-下垂体-副腎系にもACE2 受容体の発現があり,COVID-19罹患後に,稀ながら原発性,二次性及び三次性の副腎皮質機能低下症を来たす報告がある.COVID-19罹患後の倦怠感・疲労感等の長期的な症状の原因として,副腎皮質機能低下症が関与している可能性があり,負荷試験など精査を検討する必要がある.【結語】COVID-19罹患後に1ヶ月持続する全身倦怠感を認め,二次性副腎皮質機能低下症と診断した1例を経験した.

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