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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-122] 成人スティル病治療中に発症したCandida.parapsilosis血症の一例


【背景】腎結石を有し尿路感染(UTI)を繰り返す成人スティル病(ASD)患者の治療中に発症したCandida.parapsilosis血症を報告する.
【症例】54歳,女性
【主訴】発熱,血圧低下,呼吸困難
【病歴】X-25年前,リンパ腫の疑いで脾臓摘出術を受けたが,ASDと診断され,ステロイドとシクロスポリン(CYA)で寛解した.X-3年にUTIのため当院入院.ASDが再発し,中等量から少量プレドニゾロン(PSL)が継続投与された.X年2月に右水腎,UTIのため入院.尿管ステント挿入後,第57病日に経尿道的結石破砕術が施行された.術後も発熱を繰り返し,血液培養は陰性であったが,敗血症性ショックとなった.広域抗菌薬およびステロイド治療で循環動態は改善したが,白血球増多,フェリチンと胆道系酵素高値が続くためASD再燃と判断し,CYAを追加し,第135病日にトシリズマブ400mgを点滴した.第154病日発熱.同日の血液培養で腸球菌が検出されバンコマイシン(VCM)開始した.口腔内カンジダ症あり,血清βDグルカン高値のため第164病日ミカファンギン開始した.第170病日の血液培養で酵母様真菌と緑膿菌を検出した.VCM中止し,アミカシン開始した.第173病日に敗血症性ショックのためICU管理となった.
【所見】身長 155cm 体重 53.9kg 体温39.7℃ 脈拍 136/分 血圧 139/85mmHg 呼吸数 50/分 P/F 316.白血球 23300/μL 血小板 25.7×10^4/μL クレアチニン 0.55mg/dL CRP 9.53mg/dL βDグルカン 6150pg/mL
【経過】眼科診察では異常所見なかったが,抗真菌薬を眼内移行性のあるトリアゾールに変更した.末梢静脈確保困難のため部位を変更しながら中心静脈(CV)カテーテルを挿入していたが,第175病日に酵母真菌がC.parapsilosisと同定されたため,第180病日に抜去した.カテ先培養で緑膿菌とC.parapsilosisが検出された.第184病日の血液培養で緑膿菌は陰性であったが,C.parapsilosisが検出された.アムホテリシンB(AMPH-B)に変更後の第192病日の血液培養は陰性となり,第207病日にAMPH-Bを中止した.
【考察】血管留置カテーテルを介した感染の場合,カテーテルの抜去で改善することが多いが,本例は抗真菌薬をAMPH-B変更し,血液培養陰性となった.
【結語】ASD治療による免疫抑制状態下でC.parapsilosis血症を合併し,治療に難渋した一例を報告した.

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