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2月19日 (日)

プログラム

抄録





[P-132] 頸椎ヘルニア所見に加え、急に頚部痛、頭痛、咽頭痛が出現した石灰沈着性頚長筋腱炎の診断治療


【症例】72歳男性
【主訴】頚部痛
【現病歴】X-2日に誘因なく後頚部痛が出現した。近医整形外科受診し、NSAIDs処方を受けた。X-1日の夜から後頭部痛も出てきて、痛みがつらいと、X日に救急要請された。
【既往歴】脳梗塞(右尾状核、左被殻)、X-3か月に交通事故による頸椎捻挫、後縦靭帯骨化、頚部脊柱管狭窄
【身体所見】JCS0、BT36.6℃、HR83/分、RR15/分、BP140/99mmHg、SpO2 98%、後頭部に間欠的な頭痛あり、全方向性に疼痛が出て運動制限あり、咽頭痛・嚥下時痛あり、右頚部に圧痛あり、右手握力低下あり、右手痺れあり
【検査結果】CT:陳旧性ラクナ梗塞あり、環軸関節の前方に石灰化あり、頸椎OPLLあり
咽頭ファイバー:咽頭後壁に軽度発赤あるが、喉頭に異常所見なし
【経過】急に出現した頚部痛や嚥下時痛、咽頭痛に対して、頸椎偽痛風や石灰沈着性頚長筋腱炎を鑑別に精査を行った。NSAIDs主体に処方を行い、X+1日目に整形外科にて頸椎MRIを行ったところ、頸椎椎間板ヘルニアがC4/5、C5/6、C6/7で出現していた。右手の痺れ、筋力低下とは矛盾しないと考えられるが、頚部症状とは関連がみられなかった。頚部症状は石灰沈着性頚長筋腱炎によるものと考えられ、NSAIDs投与で症状改善傾向となった。
【考察】石灰沈着性腱炎は主に肩関節に生じやすく、ハイドロキシアパタイトが沈着した二次性炎症性腱炎である。急な発熱、腱炎に伴った疼痛が生じやすい。頸椎ヘルニアでは説明困難な運動時痛や嚥下時痛等の症状を呈する。対症療法で治癒が期待できる疾患である為、急な関節痛や発熱の際には念頭に置くべき疾患である。今回、稀な頸部への石灰沈着がみられた為、ここに報告する。

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